drugs online

registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築

  • 259 大分県庁舎(現:大分県庁舎本館)

    • 建設省九州地方建設局(安田臣)
    • 梅林建設
    • 日本建築学会賞を受賞した戦後昭和を代表する庁舎建築(都道府県庁舎では今日まで唯一の受賞)で、かつ建築家・安田臣の代表作である。敷地中央に東西軸で高層の事務棟を置き、北に議場棟、南に正庁などを内包する厚生棟を共に低層で連ねて、全体を十字形とする。南北に長い敷地形状を巧みに活かした配置計画は秀逸である。正面となる東面は、前面に出た事務棟下層部分をピロティとして開放し、厚生棟前に築庭された「祭の庭」と共に県民の憩いの場として計画している。ピロティと庭園を併せ持つ構成は香川県庁舎東館(丹下健三設計 1958年)と共通であるように、打放しコンクリートの使用をはじめ議場屋根に折板構造を採用するなど当時の流行が随所に認められる。これを象徴するのが美術家との協働で、本作ではピロティの彫刻「望」を朝倉響子、中庭・後庭を重森完途、そして前出「祭の庭」に加えてピロティの壁画「石の滝」などを流政之が手がけている。特に流が事務棟東西面を型枠の反転使用により象った「恋矢車」と銘された壁面意匠は、高次で機能性と建築美を統合させており、この「みごとな結実の好例」から日本建築学会賞受賞にあたっては代表者として安田臣のほか、協力者として流政之が名を連ねている。こうした建築の水準の高さに加えて、2015(平成27)年に九州で初になるという免振改修(免振レトロフィット)を施して長期使用と建築文化の継承に資していることも重要といえる。
    • 1962
    • 大分県大分市