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  • 199 国際基督教大学ディッフェンドルファー記念館

    • ヴォーリズ建築事務所
    • 大成建設
    • ディッフェンドルファー記念館は、ヴォーリズ建築設計事務所の組織や設計手法が転換期にある時期の作品であり、また大学所蔵資料からその設計変更の過程が確認できることから、モダニズム建築が戦後日本の建築界(建築設計事務所)に浸透していく過程がわかる事例として貴重である。具体的には、1949 年にヴォーリズによって設定された「複数の軸線を意識したピクチャレスクなキャンパス 計画」、およびその要の施設として計画された「講堂と学生会館の複合施設」という当初のコンセプトに基づきながら、1958年竣工の実施案では、外観は本館と対峙する北面のみモニュメンタルな対称性を維持し、その他の面をガラスの全面開口と柱とスラブ・手摺りという垂直・水平の要素で抽象的に構成した点、内部では講堂と学生会館という異なる機能に対し、アルミサッシュを効果的に使った透過性のあるヴォリュームの空間構成によって全体を統合した点に担当者の創意工夫とモダニズム美学の浸透を見ることができる。同館のこうした建築的解決が有効であったことは、ヴォーリズに代わってマスターアーキテクトとなったアントニン・レーモンドが隣接するヴォーリズ設計の礼拝堂をモダニズム風の意匠に改修する際に、ディッフェンドルファー記念館の意匠を参照し、連続性を表現し たことに顕著にあらわれている。国際基督教大学にとっても、二人のマスターアーキテクトのデザインをつなぐ建物として重要な施設といえる。また、過去の耐震改修工事もそうした建物の履歴・意匠コンセプトを注意深く保存するように行われており、意匠のオーセンティシティが失われていないことも高く評価できる。
    • 1958
    • 東京