日土小学校の卒業生でDOCOMOMO Japanフレンズの二宮さんからメッセージが寄せられました


「日土小学校保存・改修」に向けて思うこと

私がこの小学校を卒業して今27歳になりましたから15年の月日が経ちました。当時、私たちがこの学校で何をしていたか、今でも鮮やかな記憶といて残っています。
夏にはほとんどの生徒が裸足で過ごし、木の持つ温かさ、柔らかさ直に感じました。 休み時間には裸足のまま運動場へ駆け出し走り回り、終わりのチャイムと同時に足洗い場へ駆けて行き水をかけ合いふざけました。土曜や日曜には非常階段やテラスから友達と竿を出し、魚の大きさを競いました。他にも中庭の水路、池の上の張り出し、2階のベンチのあるベランダ、教室前の展示空間、至る所が子供たちの遊び場でした。
私たちが普通に過ごしていたこと・・・、子供が自然、建物とどう関わるのか、あまりにも自然なそれぞれのつながりは当時の私たちには理解されることもなく、今更ながら考えさせられます。
これから保護者と設計者とによる実施設計になると聞いております。大人の目線だけで設計を進めないで欲しいと思います。管理の問題等、重要なこともあるでしょう。しかし、管理、管理と前面に押し出して、子供たちが萎縮してしまうようでは教育にはなりません。学校の主役はあくまで子供たちです。子供たちには私たちがそう過ごしたように生き生き、伸び伸びと過ごしてもらいたい。
今この建物が建ち約50年が経ちました。その時、その時の子供たちにとって過ごし方は、それぞれでしょう。しかし、私たちは同じ空間を共有したのです。地域で一つのものを共有し続けること、地域の絆、結びつきとしてとても重要なことだと思います。
私たちの空間体験からもこの学校は子供たちに十分な空間であったと思います。今回、構造、設備、管理といった問題からの改修になりましたが、今まで50年の卒業生たちの思い出のつまった学校、それに文化的にもこれだけ価値を認めてもらった学校です。この生きた教材を、今後の子供たちにどう生かして行くのか、子供たちにとって貴重な6年を有意義なものになるよう良心ある改修になることを心より祈っております。

日土小学校 OB 二宮一平

日土小学校の再生を目指すシンポジウムが地元の八幡浜市で12月10日開催されました。



DOCOMOMO20選に選ばれた日土小学校は、松村正恒氏が八幡浜市役所時代に設計した学校建築です。しかし、築40数年を経た建物は老朽化が進み、昨年の台風での被害などもあり、八幡浜市役所で「日土小学校再生検討委員会」を組織され改築への検討が始まりました。しかし、全面的な建替えも含めた再生検討委員会ということで、同様な手段で日土小学校と同じく評価の高かった松村氏設計の江戸岡小学校の建物が消滅してしまった前例があります。そのことを危惧した地元の方々や日本建築学会四国支部、日本建築家協会四国支部が中心となり、12月10日八幡浜市商工会議所でシンポジウム「八幡浜の文化資産を考える ――日土小学校の再生を目指して――」が開催されました。 シンポジウムには一般市民の方、市議会議員の方、若い方から高齢の方まで200名を超える方々が集まり、日土小学校の保存への関心の高さを示しています。
シンポジウムは神戸芸術工科大学の花田佳明氏の司会で、DOCOMOMO Japan鈴木博之代表より日土小学校がDOCOMOMOに選ばれた経緯とその歴史的文化的価値について、吉村彰氏(東京電機大学教授)は学校建築の方向性について、腰原幹雄氏(東京大学助教授)は木造建築の耐震性、耐久性について、和田耕一氏と武智和臣氏(建築学会四国支部・建築家協会四国支部)からは、日土小学校を保存しこれからの学校建築に対応した具体的な保存改修案について紹介がありました。

シンポジウム以降も地元の方々の日土保存へ向けての努力が続いています。詳しくは“日土小学校を考えるネットワーク”のホームページ www.wada-archi.com/hizuchi/ をご覧ください。 <桐原武志 記>